TOPへ

 

 

新世紀エヴァンゲリオン
第拾九話 「男ノ戦イ(仮)」 
最終話

新世紀エヴァンゲリオン
第拾九話 「男ノ戦イ(仮)」 
第伍部

 

 

 

 

 

 

 

 

 



らゆる物質がどどろに腐って流れていく
らゆる物質がどどろに腐って流れていく
腐った川そこに流いるものはう水とはべな
腐った川そこに流いるものはう水とはべな
大地の全てこのの中してき、の世からた、
大地の全てこのの中してき、の世からた、
てがずれていく歪んでいく
てがずれていく歪んでいく
だココするだけだ
だココするだけだ
重力
がこの全てを縛り付け離そうとしな
重力がこの全てを縛り付け離そうとしな

 

はこの有り様を、

ドロドロの大地の底

周囲に流されつつ、その摩擦熱にあえぎながら、その腐敗臭に吐き気を催しつつ、

見つめている
見つめている
見つめている
見つめている
見つめている
見つめている

 

 

 

 

僕は、とても僅かな人との繋がりの中で生きてきた

 

今になって、自覚
今になって、自覚

 

でももう、それも

今ではどうでもいいことになってしまったような気がする

 

 

 

 

空を見上げると、雲がもの凄い早さで流れていた

でもあれはきっと、僕が僕であったときに見た雲とは違っている

多分、あれは油だ、水の中に油を入れたら油は水面に浮かぶ、だからあれはきっと油だ

雲のような油だ

ここにも雲はある

 

 

 

 

僕は、何を思い出したらいいんだろう?
僕は、何を思い出したらいいんだろう?

 

 

 

 

手の事を?手の事を思い出せばいいのか

手、

 

体の一部。

 

先が五本に分かれていて、モノを掴んだりヒトを触ったり生きていく為に必要だったもの

 

突然の偶然が現れた
突然の偶然が現れた
僕の目の前にヒトの腕が現れた。

黒い濁流の中から、突然、それも自分がそれについて考えていた時に、

現実の人間の腕が、僕の前に吹き出してきた

僕はじっとそれを凝視する

ほんの一瞬の出来事だったが

その瞬間は、僕に永遠の印象を刻み込んだ

 

 

白い腕

女のものだろうか

ひどく細い

切り口はぼろぼろに腐食していた

黒い土が溜まり、油がまとわりついている

 

細くしなやかな五本の指

力はこもっていない

無表情な手

だらりとやさしく垂れ下がっている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い濁流の狭間に飲み込まれ、消える
黒い濁流の狭間に飲み込まれ、消える

 

 

 

 

 

 

天に浮かぶ油・・

そのさらに上方、月がある。

太陽は月の裏側にある。逆光で黒い月、その丸い輪郭が眩しく輝いている

コロナ  エンゼルリング

 

暗黒の真円が膨張していく

月が地球に近づいている

月に遮られた太陽の光、その輝きが更に失われていく

地球に落ちた影が膨張していく

宇宙の闇と同化していく、月の影

 

 

 

 

 

「月が、再生する時だ」
「月が、再生する時だ」
「月が、再生する時だ」

 

 

 

 

 

 

 

濁流に飲まれた白い腕、

段々と分解されていく

初号機の胃液・膵液・腸液によって、

その全てが粉砕されていく

テロメアの尽きないうちにその細胞は暴力的に打ち崩されDNAも散乱していく

初号機の生体触媒、世界全消化酵素

月の膨張に従って、その働きを更に拡大していく

排泄された濁流は新たなる土を地球にもたらすのだ

昇華されていく僕たちの世界

 

僕 僕 僕 僕 僕
僕 僕 僕 僕 僕
僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 
僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 

 

「初号機」なんて呼び方は、もう止めようよ

彼は・・いや、彼女?でももう「彼女」と呼ばれていた人格も何処に行ってしまったのか判らない

これは生き物なのか?

もう「初号機」はヒトのカタチをしていない 地球の全てを覆い尽くす一つの膜になっている

オゾン層、大気圏、マントル そういったあまりにも巨大でその全体を決して認識できない、

象徴的なものになってしまっている

巨大、巨大、巨大

神のように 漠然と巨大

土のように コンクリートのように 川のように プラスティックのように

でも決して無機的じゃない そこには限りない友愛がある

生物 無生物 全ての概念を飲み込んだ「全体」

まな板、電波、ロバ、ガス、アンテナ、触覚

 

「初号機」の事、なんて呼んだらいいんだろう

 

 

僕は悩む

 

 

 

僕は月にいるアナタにこの事実を伝えるために

アナタに「初号機」の事を教えるために 考える

 

そうだ、「初号機」の前に、  「僕」は何?

「僕」をアナタに伝えるにはどうしたらいい?

 

僕 僕 僕 僕 僕

僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 僕 

「僕」の事、何だと思う?

僕は今、初号機が消化した(昇華した)真っ黒な泥水に溺れながら、アナタに話をしています

僕は「碇シンジ」、

そういう事にしておけば、アナタは納得するのかな

でも僕は「碇シンジ」じゃないでしょ

僕はそんなちっぽけなモノじゃない。

うまく話せないんだ

 

もうココには誰もいない。

みんな死んだ。

僕が喰い殺した。

血をすすって飲み込んだ。

だからもうあたりは死臭でいっぱいだ

臭い臭い、臭くて汚くて、そして僕は満腹でココから動くことも出来ない。

でもニオイなんて、別にもうどうでもいいんだ

 

 

 

他人がいなくなったら自分は消えてしまうなんて、ただの迷信だったんだよ

 

 

 

でも、アナタは他人なのか。

そうか、結局僕はまた、他人にリンクしようとしてるんだな

 

 

 

このまま月が膨張して地球を飲み込んだら、

月(リリス)が地球からこの腐った流れを吸い尽くして再生したら、

そう。

地球が死んで、アナタが月で誕生する時に

僕はアナタに会う

僕は君に会えるんだ

 

 

 

 

そしたら僕は

 

僕はアナタを殺してやる

 

僕の情報を受け取ってるお前

お前は綾波、綾波レイなんだ

僕を拾った綾波レイだ

お前なんか嫌いだ 死ね死んじゃえ

僕を捨てた綾波レイだ

もう姿を見せないで

 

 

 

 

 

 

 

Q:「シンジ君、君の歳は?」
Q:「シンジ君、君の歳は?」

A:は、」
A:「は、」
3億です
3億と、17才

 

 

 

 

月が蘇って、君が、生命が生まれたら

僕は悪魔となってその全てを狩り潰すよ

イノセントな衝動に従って・・

 

 

もし暇があれば、「碇シンジ」に弔いの祈りでも捧げてやって下さい
それがきっと、僕が唯一信じることの出来る、「生の証拠」だから

 

 

 

さようなら


 

The end.... 


Back to novelpage...


Back to toppage...

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送