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「特撮ファンの部屋」

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○なんで東映は正月にこっちを上映しなかったんだ(北京原人の逆襲)

 最初にお断りするが「北京原人」といっても、大方の予想通り見事にコケてくれた98年の正月に東映が満を持してお贈りした超大作「北京原人 Who are you?(原題「公開前に自滅」)、とは全く関係のない作品です。

 ヒマラヤの奥地で巨大なキングコんぐぅ…じゃなかった「北京原人(なぜか巨大化。お得意の地殻変動・異常気象による影響か?)」が出現して、近辺を荒らす事件が発生。
 それを聞いた香港の一角千金夢見た探検隊は、「北京原人を捕らえてやる!」とヒマラヤの奥地に向かって突き進むが、ヘビ・虎などの様々な生物に襲われて一人、また一人と減っていく。
 しかもこの探検隊の隊長というのが、毒蛇に噛まれて苦しんでいる仲間を「楽にしてやる」といって撃ち殺し、主人公の「なぜ撃ったんだ!」の声に「血清を浮かすために」と答えるという、悪人。
 あまりにも死人が出るのでこのままじゃいかんと思った探検隊は、主人公を残してサッサとヒマラヤから撤退。一人残された主人公は、巨大な北京原人に襲われそうになり、あわやというところで女ターザン「サマンサ」に助けられる。
 サマンサは幼い頃に飛行機事故にあった唯一の生き残りで、今までこのヒマラヤの奥地で生活していたのだという。
 主人公はサマンサと北京原人とともに、巨大なイカダで香港に戻ることに成功。
 戻った主人公を待っていたのは、自分をふってプロデューサーである自分の兄のもとにいってしまった元恋人の女優(ご丁寧に、兄とやってる場面を目撃している回想シーンが描かれる)。
 「でもあなたのことがやっぱり好きなの」と言われ、主人公はその女優とよりを戻す(ようするにやっちゃう)。
 その場面を見たサマンサはショックで、逃亡してしまう。
 落ち込んでいるサマンサを、騙して連れてきた悪人の隊長。隊長はサマンサに襲い掛かって気絶させ、「あとはお楽しみ」という危機一髪なところを主人公が助けに入る。
 その頃北京原人は見せ物としていろんな侮辱を受けさせられ、ついに(当然のことながら)キレて街を暴れまわる。
 「自分とサマンサが説得すれば北京原人はおとなしくなるから攻撃しないでくれ」と頼む主人公に、攻撃隊長は「わかった」と返事をくれる。
 北京原人を説得しようとビルに上った主人公とサマンサ。
 二人の説得により落ち着いた北京原人であったが、攻撃隊長の「北京原人をぶっ殺せ!」とばかりに大量の砲弾(本当に大量の)を浴びせられ、側にあった石油タンクを破裂させられ、大爆発によってビルから落下。ついには絶命させられる。
 爆発によって吹き飛ばされても奇跡的に(というより、ご都合主義的に)助かった主人公は、サマンサの亡骸を抱きあげてその場にたたずむ。

 以上がストーリーですが、なんや「キングコ○グ」やんけと伏せ字をする必要のない超メジャー作品を思い出すだろうが、それは
 「おもいっきり当たっています」。

 というよりも本作は、76年に公開された超大作リメイク版「キングコング」の後に制作された「誰の目にもおこぼれを頂戴しよう」魂胆ミエミエすぎて逆にさわやかな作品なのです。
 リメイク版も当初から「オリジナルの人気にあやかった面汚し作品」などの悪評を頂いていましたが(僕は大好きだけど)、そんな作品に便乗しようなんて、
 「ジャングル大帝」なんか知らんと堂々と述べたディズニーが、裸足で逃げ出すかっこよさです。

 さて、本作の思い出を語るときに避けて通れないのが、サマンサの存在です。
 このサマンサ、まず扮装(服装)からすでに「女ターザンというのは、こういう(いやらしい)カッコウをしているんだ」と後々まで引きずってくれる、ありがたいお姿で飛ばしてくれます。
 もちろんそのお姿を見た者たちの期待を、
 見事に裏切らない大活躍!

 まず初めて主人公と逢ったときに毒蛇に噛まれるのだが、その場所は内股(笑)。主人公は懸命に毒を吸い出してやり、そのまま主人公とやっちゃいます(無論このときが初めての体験)。
 これをきっかけに、主人公とやりまくる(本当)サマンサ。
 この手の作品でこの手のシーンの時には、布団(シーツ)を被せて、いかにもしています的な演出で見せるお約束なんかではなく、本当にすべてをさらけ出して抱きあっております。
 「本当にこれ、子供を視野に入れてる怪獣映画か?」
 とは、当時6・7歳であった僕の言葉です。
 「恐竜100万年」をはじめ、この手の映画でお色気部分をカバーする女優の出演は多数ありましたが、製作者の理性によりつねに秩序は保たれておりました。
 でも本作は、それを見事に壊してしまいました。
 僕はこの映画テレビで観たのですが、家族4人(両親・僕・妹)に気まずい空気が流れる。
 しかしそのときの母親の、心温まるフォロー、
 「あの二人の間には、ガラスが挟んであるんやで」。
 そのため僕は数年間、この手のシーンになると「あの二人の間には、ガラスが挟んである」と思える、すばらしく純情な少年であり続けられました。
 ありがとう、母親!

 なお、サマンサがやってる姿を見た北京原人は、さびしそうにスネて遠くに歩いていくのですが、その姿は「自分が憧れていたお姉さんに恋人がいた」ということを知ったときの、さみしい気持ちでいっぱいになる少年の心を見事に描いているといえるでしょう(ウソ)。

 なお、近所のおばちゃんがキングコングと北京原人だと、北京原人のほうが好きだと当時言っていた。理由は「キングコングより顔がかわいい」らしい。いろんな人がいて、実にほほえましいエピソードですね。

 実はこの作品、制作は香港だけど、特撮は日本の有川監督(円谷監督のお弟子さん)だったりします。言われてみれば「いかにも日本的な」北京原人だということに気づきます。

 お涙頂戴を狙ったはいいけど全然泣けない、というよりも根本からづれている東映の「北京原人」は、本作のもつ圧倒的なパワー(ほとんどサマンサが引き受けたパワーだけど)を見習って欲しいものです。まあ、我が国日本の「大人」をシェアに入れたSF映画はみんな東映版「北京原人」のことを悪く言えない出来ですが(全体的に勘違いしている内容。とにかく寒い)。

 お詫び:文中、青少年には不適切と思われる内容がありましたことを、お詫びします(なんてね)。


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