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おら入院しちまっただよ(2)

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「は!?」

おれは一瞬意味が分からなかった。

この病院ではナースが受付やってんだっけ?

でもおれの血を抜いたのはこの人だよな・・・

「ちょっと数値が、あの・・・普通と違うので、その・・・来て下さい」

と、わけのわからんことを言われた。

「へ!?」

賢いおれはすでに、「血液の数値」という時点で、あることを連想していた。

診察室に再び通された。

さっきの医者とベテラン看護婦がいた。

おれは21の若造のくせに、悟りきったような覚悟を決めていた。

「なんかやばかったんですかね?」

朦朧とした意識の中聞いてみた。

「Sakaiさん。血中の白血球の濃度が通常の2倍以上あるんデスヨ。」

・・・・・・!!

頭の中が真っ白になった。

再び今まであった友達が脳裏を走った。

「そ、それは・・・最悪どういうことですか?」

答えを予想しながらおれはワラにもすがる思いで聞いてみた。

「最悪・・・ですか。白血病ですね。」

みたいなことをほざきやがったこのくそ医者・・・

一応予想はしてたものの、妄想が先走るおれとしては痛恨の一撃だった。

よくマンガで、ショッキングなシーンで倒れる人がいる。

んなやついねえよ。

とか思っていたが、おれは倒れかけた。

もともと倒れかけていた体調にショッキングなニュースに、

内臓が口から出そうな緊張感を禁じ得なかった。

その場で崩れ落ち、ベッドでしばらく寝た。

「色々と検査もありますから、入院しましょう。」

入院!?

昔アデノイドのオペで1日病院に泊まったことはあるけど・・・

「実家に帰ったほうがいいですよ。親も心配しますし。」

なにぃいいいぃ!?

親に会わなきゃいかんほどヤバイのか!?

おれの妄想特急は暴走した。 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

その後薬局で薬をもらい、うちに帰った。

白血病!?

骨髄移植しなきゃなおらん!?

家族でも型が会わなかったりする!?

ようするにヤバイ!?

おれの聞きかじりの知識がうぜえくらいに脳を支配した。

弱った人間はなぜか神にたよってみたりする。

「この病気が白血病じゃなくてすぐ治るなら、骨髄バンクに登録するぜ・・・!」

筋の通ってそうなことを神に対して取引してみたりした。

死の恐怖を本当に味わったのはこれで何度目か知らんが、まじでビビってた。

泣きそうだった。

状況を楽観視する余裕のある体調ではなかった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

そのまま一夜を明かし、地元越谷の独協埼玉病院にかかった。

触診してもらったら、腹がなでられるだけでいてえ!

「う〜む・・・これは○○という病気の可能性があるね。」

ムズカシげな病名にまたびびった。

「命に別状とかあるんすか?」 恐る恐る聞いてみた。

「もし○○だったら、治るのに時間はかかるけど死にはしないよ。」

パアアァアアアア・・・

おれの未来は明るくなった。

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