ＢＡＣＫ

「特撮ファンの部屋」

　ウルトラマン・仮面ライダー・ゴジラ・ガメラの四天王は別格として、誰にでも個人的に思い入れのある作品ってあると思います。
　僕にとって「トリプルファイター」は、個人的に思い入れのある作品の一つです。

　全宇宙征服を企むデーモン一族。そのデーモン一族によって滅ぼされた人々は、地球に防衛組織「SAT」を結成した。SATの日本支部にはSATで唯一変身できる早瀬哲夫（グリーンファイター）・勇二（レッドファイター）・ユリ（オレンジファイター）の3兄弟が属している。3人のファイターは1つになることにより「トリプルファイター」となり、デーモン一族を倒すのだ。

　まずそれぞれのファイターに変身し、そしてその3人のファイターが一つになって「トリプルファイター」に変身する。その2弾変身は、当時としては画期的（イナズマンの元祖？）。
　昭和47年に円谷プロによって制作されましたが、円谷作品にしては珍しく等身大ヒーローです。やはり当時の「仮面ライダー」ブームの影響でしょう。アクションシーンが多く、嫌でもライダーの影響が大きいことがわかります。トリプルファイターの最後の決め技も「トリプルキック」です。スポンサーはブルマァクで、全面的にバックアップしているのが特徴です。ウルトラに比べて、玩具化しやすいアイテムが多く現れています（サットカー・サットバイク・サットバギーなど）。
　本作の放送形態は、毎週月曜日〜金曜日の各10分間だけの放映で、一週間で1話完結となっています。つまり「毎日ヒーローが見れる！」という、変身ヒーロー大ブームの昭和47年に生きていた者にとって、それは夢のような話だったわけです。

　僕はもちろん子供のときに見てました。また、当時買ってもらったＬＰレコード（帰ってきたウルトラマン・サンダーマスク・シルバー仮面・ミラーマン・トリプルファイター・ウルトラセブンが収録されている）はよく聴いていて、トリプルファイターの歌はすごく子供心に印象に残っていました。主題歌もいいですが、挿入歌の「トリプルファイターの誓い」が、すごくいい出来なんです。なんというか、暗くて、そして悲しい歌で（ミラーマンのSGMの歌もかなり暗いが）。ちなみにこのＬＰは今でも大事にしています。

　僕が特撮ファンになって本作を思い出しましたが、全くといって資料がない。マイナーな作品だからなあ。でも「トリプルファイターの誓い」のかっこ良さと、子供の頃大好きだった気持ちを胸に関連アイテムを集めていたら、いつの間にかコレクターとなっていました。それぐらい好きになっていたんですね。残念ながらコレクションは、数年前に絶望的な金欠になったためにほとんどを売ってしまいました。そのことを今でもだいぶ後悔しています。やっぱり金だけが人生ではないですよね。
　数年前に発売されたＬＤは、当然発売日と同時に手に入れました。しかしよくマイナーなのに発売してくれたなあ。タキコーポレーションさんには大感謝！　そういえばスペクトルマンも同じタキコーポレーションだ。すごくいい会社だ！
　でまあ、今ではいつでも好きなときに本作を観れるわけですが、それまでは大変でした。なんせ観れない・資料がないの二重（以上？）苦だったんですから。昔オンエアーをカセットテープで撮った人がいるという情報を手に入れて連絡しましたが、「もう少し待ってくれ」とのこと。結局待ってたけどそれっきり連絡はなかったですけど。上映会で撮った8ミリテープがあると聞いて、その人を捜しましたが、やはり見つからず。そんな苦労をしていた頃が懐かしいなあ。

　ファンの間では「アクションだけで、中身のない作品」と評価されているそうです。実際僕もそう思います。でも仕方ないですよね。毎日数分づつ放映しなくてはいけないし、低予算だし。必然的にアクション中心になりますよね（一番の理由はライダーに対抗するためだと思うけど）。
　ところが以外（失礼？）にも、数本はちゃんとストーリーを重視していたりします。
　戦いのために友達さえつくれないユリ。もとSATにいたケリーは、妹がデーモンによって殺されたため孤独な復讐に出る。
　本作の持つイメージとは違ったシリアスな内容を見て、「作品とは外見やイメージではわからないものだなあ」と。

　主役の3人をサポート（主に通信と分析を担当）するために哲夫に作られたロボット「ブルコン」も味があっていいキャラです。海外からの連絡があった場合、普通に（よくある震えた感じのロボット声）でその内容を説明し、その後外国語風の話し方で説明する。それも無理やり色んな外国語を結びつけて、強引な外国語にしてしまって。こればっかりは説明するより観た方が全然おもしろいので、詳しい説明は省くけど、とにかく笑えます。

　最終回、デーモン達を全滅させた早瀬3兄弟は、やっと勝ち取った平和を楽しみ、これからのことを話し合う。
　しかしそんな時に、一つの連絡が舞い込む。他の惑星でデーモンの襲撃を受けていると。早瀬3兄弟は襲撃を受けている惑星を救うため、再び戦いの中へと。
　彼らに安らぎのときは来るのだろうか。