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「特撮ファンの部屋」

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○ものすごい最終回(スーパーフォース)

 日本の特撮ファンには聞きなれないタイトルであろう「スーパーフォース」。
 それもそのはず、本作は海外(アメリカだと思うんだけど、イギリスかもしれない)制作のヒーロー作品なのである。
 一部では有名な話なんだけど、毎週実写の特撮作品がテレビで放映しているのは世界的に見ても日本ぐらいで、海外では子供番組=アニメという認識が強い。
 だからこそアニメではない実写のスーパーヒーローが戦う「パワーレンジャー(ジュウレンジャー)」が大ヒットしたのだ。今まで誰も(海外では)見たこともない作品だったのだから。
 「ジングル・オール・ザ・ウェイ」はそのパワーレンジャー騒動を題材にした映画なんだけど、パロディとして映画にまでなるほどのすごい大ヒットだったということがわかる(日本に住んでるから詳しくはわからないけど)。
 それほど我が国日本は実写特撮ヒーローの分野では他国を圧倒してるといえるだろ(あくまでテレビ放映に限ったことだけど)。

 「スーパーフォース」は日本ではない海外制作のテレビヒーロー番組。いつも見ている日本のものとはどう違うのかな?

 僕が本作を見たのは今から7年前の1991年ぐらいだったと思う。
 関西テレビの深夜(1:00頃)に放送されていました。
 ちなみに30分番組なのですが、子供向けって世界共通で30分ですね。こんなところだけ世界共通なのがちょっとおかしくなってきませんか? って、誰にふっとる(笑)。

 宇宙飛行士であるザック(20代前半ぐらい)は、数年間の宇宙の旅から開放され地球に戻ってきたが、そこで彼が見たのは荒れ果てた街の姿であった。
 暴力や犯罪がはびこり悪が支配する街。
 彼が宇宙の旅をしていた数年の間に街は以前の姿を失い、今見ている荒れ果てた街にへと変わってしまったということらしい。
 そしてザックはさらに悲しい知らせを聞く。「刑事である兄が、犯罪者の手によって殺された」というのである。
 悲しみ落胆するザックであったが、彼は兄の意志を継いで刑事となり、悪と戦うことを決意する。
 だが刑事というのは表向きの仮の姿。
 真の正体は、宇宙飛行士用のものを改造した特殊スーツを身にまとい、武器であるショットガン(レーザーぽいものを撃つ)を持ち、悪を滅ぼすヒーロー「スーパーフォース」。
 今、スーパーフォースと悪との戦いが始まる。

 というのがプロローグ。  なおザックには、相棒にスピナー(だったと思う)という同い年ぐらいの男(なんかラッパーみたいな感じ)が協力をしてくれて、彼のおかげでザックはスーパーフォースとなって活躍出来るのだ!
 この、一人のヒーローに一人の相棒(科学者(見習い))が協力をするというのが海外のヒーローに多いパターン。日本ではジャンパーソンが近い。

 スーパーマンやバットマンなどと同じく、現実にいそうな犯罪者がスーパーフォースの敵として出現する。
 物語の前半はその犯罪者を刑事であるザックがスピナーの協力をうけながら捜査をして追いつめ、犯罪者をいざ捕まえるという段階になるとザックはスーパーフォースに変身し(ただ服を着るだけというのが日本のヒーローに比べて現実的。というか地味)、「なんだお前は!?」と当然のコメントを投げ掛けられた悪人にショットガンを「バ〜ンッ!」と撃って倒し(殺しはしない)、全ての悪を行動不能(気絶させたり・痛みで動けなくしたり)にさせるとその場を去って行く(結構あっさりしてる)。
 後は通報を受けてやって来た警官達が悪人を逮捕して事件終了。
 残りはザックとスピナーの仲良しトークを放送して番組終了。
 これがパターン。

 ま、取り立てて斬新ではない内容ですな。
  ヒーローモノ(やバラエティ番組)には時折「総集編」と呼ばれる「全話を見ていない、あるいはもう一度見たいシーンを放送してくれる」と好意的に考えると受け取れるが、本当は「総集編と言って今までのフィルムを編集して、間に出演者の笑えるトークをまじえて、ほんでもって未公開のシーンを加えたらマニア連中も大喜びだし、それで一本の製作費が浮くんだったら一石二鳥、うまくいけば三鳥になるじゃん。イッヒッヒッ」と悪く考えると受け取れてしまう(誤解の内容に言うと、僕は総集編結構好きだよ)サービスが時折存在するが、本作スーパーフォースにも総集編がありました。
 スーパーフォースの存在を面白くないと考えている女性刑事が、スーパーフォースの活躍を収録したCD-ROMを自分の都合のいいように編集し、スーパーフォースを落としいれようとする。
 市長を呼び出して女性刑事はスーパーフォースの犯罪行為(編集したCD-ROMではそう見える)を暴露しようとするのだが、なぜかその席にザックとスピナーが出席している(呼ばれたのか勝手に来たのかは不明)。
 スーパーフォースの件で変身する本人と相棒がいるのは、「正体ばれてるんとちゃう?」と思うが、それを言っちゃいけないのは、お・や・く・そ・くなので触れないでおこうネ。
 次々と流されるスーパーフォースの犯罪行為(これが総集編の画像)。
 女性刑事は「どうです。スーパーフォースこそ犯罪者なんです」と市長に訴えるも、スピナーが編集していることに気付いてCD-ROMを編集前の状態に戻されて一挙に女性刑事の立場がなくなる。
 強気の捨てゼリフを残して女性刑事は立ち去ってしまい、喜ぶザックとスピナーでこの話は終わるのだが、今まで放送したスーパーフォースの映像を見せながら「総集編」というカタチをとり、ちゃんと一つのエピソードとしてうまい具合に話を作っているのには感心しましたね。

 さてさて、このページのタイトルにもある通りこの作品の神髄は最終回にあります。
 「どんな最終回なんだろう?」と今これを読んでくれている良い子(いや、悪い子でもかまわないよ)はワクワクして、いてもたってもいられない状態かな。
 大丈夫、ちゃんと説明するから落ち着いてネ。慌てちゃダメだよ。
 たとえそれまでがあまりにもアレな内容でも、最終回だけは素晴らしい内容だと全体的な評価まで高まってしまうという重要な部分だけに、果たしてどんな最後を見せてくれるのだろう?
 スーパーフォースの最終回は、スピナーが過去を見ることが出来るマシンを作り上げたところから始まったんだよ。
 そのマシンはイス(なんか歯医者にあるみたいな)に座ってヘッドホンを両耳にあてると自分の過去の映像が目の前のモニターに現れるという仕組みになっており、ザックはテストをするためにイスに座ってヘッドホンを両耳に当てると、突然体が動かなくなってしまう。驚くスピナー。体が動かなくなる仕組みなんかにはなっていないのだから。
 ザックの体は動かないが、目の前のモニターにはザックがスーパーフォースになって戦う映像が流される。
 え、その映像は総集編じゃないのかって?
 ハハハハハッハ。

 当たり!

 いや〜まさかもう一度総集編を観るとは思わなかったね。
 いきなり最終回から観た人のことまで考えているなんて、なんて視聴者のことを気づかってくれる作品なんだろう。なんでも初心者には難しい方向へと流れて行く昨今、こんな親切な心を持っているなんて、その心を持つ製作者のお心遣いには涙を止めることが出来ません(ウソ)。
 さてさて総集へ…、あわわ、ザックの過去がモニターから流れて「そろそろ番組も終わりかも?」な頃になると、やっとザックの過去がモニターから流れなくなります。
 さて、次の展開はどうなるのか? もう時間がないぞ。
 そんな我々の心配する中を、スピナーはイスに座って動かないザックに向かって一言。

 「ザックー!」

 そして番組は終了。どうやらザックは死んだようです。
 ………………………………。

 「なんじゃこの最終回は!」

 どんな最終回になるのかワクワクした俺(私)の時間を返せ!
 と、怒りの声が聞こえてきますが、実はちゃんと製作者もそれは察してたらしく、ちゃんと意味がありましたので慌てないでね。

 「なんじゃあの最終回は」と思いながらも、いつしかスーパーフォースのことを忘れていた僕でしたが、数ヶ月の時間を過ごしたある日に新聞を見ると、「スーパーフォース2」という文字が目に飛び込んでくるではありませんか。

 「なんと、スーパーフォースには続編があったのだ!」
 「イヤッホー!」

 スーパーフォース2の第一話は前作のラストから始まり(というか、そうじゃないとおかしい)、ザックがイスに座ったまま動けなくなり、スピナーが「ザックー!」と叫ぶ懐かしの(?)シーンがまず我々の前に現れると、突然過去が見れるマシンは動きだし、それと同時にザックは目をさます。まるで、「どうしたの?」てな表情で。

 「やったぁ! ザックは生きてたんだ!」

 と安心する人々の姿が、スーパーフォース2を観ていた人達の共通の思いだったでしょう(本当かよ)。
 こうして再びこの世に現れた(?)ザックは、正義の味方スーパーフォースとなって悪と戦うのであった。

 前作と変わった点として、前作の敵が現実にいそうな犯罪者に対して、続編である本作の敵は、異星人・サイボーグ・ロボットという、大変SFマインド溢れる相手になったことがあげられるでしょう。
 なんか急に日本のヒーローぽくなったけど、さすがに日本のと違って大怪獣が街を破壊したり、怪人が街を徘徊して人々を恐怖に陥れるという展開ではなく、あくまで現実にいるかもしれない異形のもの(どんな表現だ)などが敵となっております。
 敵が人間以外のものになったので、必然的に映像もパワーアップ。前作とは比べ物にならないような豪華な敵やセットが画面に現れます(実はかなり誇大広告。あんまり豪華じゃないです、日本のものに比べたら。異星人といっても女性の髪の色を変えて、服装が派手なだけだったり。あくまで前作と比べたらということ)。
 もっとも、それも最初だけ。
 しばらくすると人間体(というか、そのまんまの人間)の異星人やサイボーグが現れて敵だと豪語し始め、揚げ句の果てにはスーパーフォース自身も出なくなってしまう展開に。

 「オー、なんてこったい!」

 きっと最初に予算を使いきってしまい、後半まで持たなかったんだろう。
 って、気付よ途中で。

 ところがケガの功名というべきか、この「ザックがスーパーフォースに変身しない(というか、予算がなくて出れない)」後半の話は、ドラマがしっかりしていて面白かったりするんですよ。
 これは日本のヒーローモノでも、ヒーローが大活躍する話よりもドラマをしっかり描いてヒーローがあんまり活躍しない話のほうが、面白いものが出来上がることが多いことからも証明されてますね(スーパーフォースの場合は単に予算なくて出れんだけやけど)。

 よく覚えている「ザックがスーパーフォースに変身しない」ときの話で、人工的に作られたアンドロイドの話があります。
 ザックは一人の女性と仲良くなるが、彼女がケガをして緑の血(ブルークリスマスかいな)を流したことによってアンドロイドだということを知る。実は彼女も知らなかったことで、ザックは彼女と共に彼女を生み出した博士を探しだそうとする。
 するとその過程で、彼女と同じように数人のアンドロイドが生み出されていたことがわかる。
 と同時にアンドロイドたちには寿命があり、その寿命があと数日だということも知る。
 ザックと彼女は必死に博士を探す。寿命を延ばしてもらうために。
 寿命が近くなり苦しむ彼女を他のアンドロイドと同じ部屋に置いて、ザックは一人博士がいるという場所に向かう。
 「なんとかして彼女達アンドロイドを救いたい」と願うザックであったが、目的地に着いたザックが知ったのは、博士の死であった。
 落胆し、アンドロイド達がいる部屋に戻るザックは、すでに死んで緑の液体となってしまっているアンドロイド達の亡骸を目にする。
 悲しむザックの前に、彼女は姿を見せる。まだ彼女だけは寿命はつきていなかったのだ。もっとも、わずかな時間のことだが。
 すると外に雪が降ってくる。外に出て雪と戯れる彼女を見ながら、「これからどうする」とザックは問いただす。
 すると彼女は「このままここにいる。もう少し、このままでいたいから」。
 こうしてこの話は幕を閉じる。切なくて、悲しい話なので当時結構ジーンと来ましたね。

 マンガ「スパイダーマン(池上僚一・平井和正)」で、平井和正先生が「別に小森ユウがスパイダーマンに扮装しなくてもかまわない。それよりもストーリー性を大事にした」というようなことをコメントされていましたが、このスーパーフォースも変身しようがしまいが関係がなかったのかもしれません。
 もっとも、スパイダーマンの小森ユウと違って、予算がないから変身出来なかったという理由が情けないですが。
 僕が気に入ってるアンドロイドの話も、ザックがスーパーフォースに変身しないからこそ出来た話だと思うけど、「予算がない」時って人間は見た目よりもアイデアで勝負するようになるのか、ウルトラセブンの後半・キカイダー01など我が国のヒーローモノもアイデアで予算のなさをカバーしようとしてますね。
 ようはなんでもアイデアですな。

 さてさて、注目のスーパーフォース2の最終回ですが、果たしてどんな展開になるのだろう。ワクワク。
 ザックは過去が見れるマシンに近づいて行き、「以前このマシンでえらい目にあったなあ」とスピナーに語りかけながら、なんとこの間と同じくイスに座ってヘッドホンを耳に当てる。
 すると、大方の予想通りにザックは以前のように動きが止まってしまい、モニターにザックの過去(総集編)が映し出される。

 「また総集編かよぉ。」

 そして番組も終わりに近づき、やっとザックの過去がモニターから流れなくなると、スピナーはイスに座って動かないザックに向かって一言。

 「ザックー!」

 そして番組は終了。どうやらザックは(再び)死んだようです。
 ………………………………。

 「REVENGE OF なんじゃこの最終回は!」

 なお、2の後にまた3でもやるのかと思ってたらやりませんでした。
 本当は3作るつもりがあったのかもしれんけど、不人気で作れんかっただけかも(可能性大)。
 もし3作ってたらやっぱり第一話でザックが甦って、そして最終回でイスに座って死に、スピナーの「ザックー!」の声で終わると。

  「オー、これぞネバーエンディングストーリー!」

 自己摘発セミナーと化してなんの解決もしなかったエヴァ・総集編で終わってしまうメカンダーロボ・どうせ2がするのになぜかみんなの記憶を消してしまったセーラームーン・無理やり全員が殉職するヤケクソな展開の警視庁殺人課といった、クソみたいな最終回を迎えたものたちでさえも越えられなかった一線を越えてしまったと思える素晴らしい(か?)スーパーフォースのラスト(誰だ、単なる手抜きと言う奴は?)。

 伏線を張り巡らし、謎を作りすぎたがために収拾がつかなくなり、最終回で「さあ、真相はみなさんで考えてみましょう」という人をなめきった作り方はよく目にするけど、別に大きい伏線も謎もないのに、最終回で意表(なのか?)をつかせるとは。

 最終回という最後の最後に越えちゃいけない一線を越えるとは、なんて男なんだあんたは(しかも2回)。
 いや、男なんてもんじゃない。「漢」と書いて「お・と・こ」ですね。
 そんな漢の作品、スーパーフォースが残した最後のメッセージ、

 「ザックー!」

 を、わたしは心の中から拭い去ることなど出来ません!


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