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「特撮ファンの部屋」

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○ニクロンの思い出(漫画版ウルトラマン)

 特撮変身ヒーローを毎日浴びるように生活していた子供の頃。テレビはもちろん、漫画でも彼らヒーローは大活躍。一番好きな漫画は、もちろんウルトラマン(ウルトラ兄弟)。僕はテレビくんと小学館の学習雑誌のほとんどに連載されていた、ウルトラマンの漫画を読んでいました。テレビとは違った魅力を描いたその世界観は、まさにもう一つのウルトラ世界。
 ゾフィーがM87光線を生み出した原因・ウルトラの国の伝説・その他多くの、テレビでは語られていない話。
 そういった裏設定やオリジナルの話とは別に、脚本は出来たけど映像化されなかった話も漫画化されていました(もちろんそれを知ったのは、僕が大きくなって特撮ファンになってから)。上原正三先生がセブンで書いた「300年間の復讐」なんかが漫画化されていました。その時読んでも「すごいストーリーだ」とずっと頭の中に残っていたほどです。
 さて、そんな漫画ウルトラマンの中で、一番印象に残っているのが、このページのタイトルにもなっている「ニクロン」です。ニクロンは漫画ウルトラマンタロウに登場した、テレビでは存在しない怪獣です。

--- ストーリー ---

 「タロウがんばれー!」。タロウがレッドキングと戦っているのを、子供たちが応援する。しかしその中で、一人だけ応援しないで黙っている少年がいる。
 タロウがレッドキングを投げ飛ばす。すると黙っていた少年は「レッドキングがんばれ! タロウなんかに負けるな!」と、レッドキングを応援する。
 その少年の声を聞いたタロウであったが、怪獣をこのままにするわけにはいかず、ストリウム光線でレッドキングを倒す。
 タロウと怪獣の戦いが終わり、街に再び平和がおとずれる。
 すると、体の大きい大将に投げ飛ばされる少年。理由は、「なぜタロウを応援しないんだ!」。地面に倒れながらその言葉を聞いた少年は、「怪獣だって好きで暴れてるんじゃないんだ。怪獣だったらなんでも攻撃するタロウの方が僕には悪い奴に見える」と。しかし怪獣を応援する少年はみんなに仲間外れにあい、持っていたレッドキングの(ソフビ)人形を大将に踏み潰されてしまう。泣きながらレッドキングの人形を拾い上げる少年の前から立ち去っていく子供たちは「怪獣を応援するや〜つは〜、ガマクジラにヘソを喰われて死んじまえ〜」と歌いながら歩いていく。
 家への帰り道、少年は一つのガチャガチャ(ガシャポン)を見つける。中に怪獣消しゴムが入ってるのを見て、ポケットに手を入れると20円入ってる。「よかった」とばかりにガチャガチャにチャレンジ。「さあ、なにが出てきたかな?」と見てみると、見たこともない怪獣に「あれ、こんな怪獣いたかな?」。
 夜になり、自分の部屋でなかなか寝ない少年に母親は「いつまでも怪獣と遊んでないで、早くねなさい」と。「は〜い」と少年は答え、まくらの上に置いたガチャガチャから出た怪獣消しゴムに向かって、「おやすみ、名なしの怪獣さん」と。
 少年が眠っていると、夢の中で怪獣消しゴムと同じかたちの怪獣が現れ、「僕は怪獣達の憎しみから生まれた、ニクロンと言うんだ。いつも怪獣を応援してくれてありがとう。朝になったら窓から外を見てみてね」と告げる。
 朝になり、「あれは夢だったのかな?」と考える少年だったけど、まくらの上に置いた怪獣消しゴムがないことに気付いて、窓の外を見てびっくり。外には怪獣ニクロンが立っているのだから。
 喜んで外に出る少年は、ニクロンの背中に乗って歩いていく。周りの人々はみんな「怪獣だ〜」といって逃げ惑う。ニクロンと少年の目の前に、昨日少年をいじめた大将グループが現れる。さすがの大将も、本物の怪獣相手ではなにも出来ずに、逃げていく。その姿を見て少年は笑ってしまう。しかし謝る大将たちを、少年とニクロンは許してあげる。みんなで仲よくニクロンと一緒に歩いていく。
 しかし、タロウが現れる。ニクロンを倒すために。
 「がんばってニクロン!」と子供たちは応援するが、ニクロンはおとなしい怪獣なので戦えない。しかし子供たちの声援に答えなくてはならない。そこでニクロンは、少年が落としたレッドキングの人形(昨日大将に踏み潰された)を角から出る光線で巨大化させ、タロウと戦わせる。だけど、やっぱり怪獣人形。あっと言う間に負けてしまう。やはり自分が行かねばと、ニクロンはタロウに向かっていくがまるで歯が立たない。「ニクロンがんばれ!」という、子供たちの声援が響き渡る。
 するとタロウは、ニクロンを持ち上げて空の彼方に消えてしまう。心配する子供たち。
 やがてニクロンの声で「僕は地球では生きていけないんだ。ありがとう」と。「ニクロン…」涙を流して別れを言う少年の姿がそこにあった。

--- エンド ---

 この話に大感動した僕は、すぐに近所のお店に行って怪獣消しゴムを買いました。もちろん、レッドキングを(笑)。
 僕もウルトラマン(というよりヒーロー)よりも、怪獣が好きな人間なので、この少年の気持ちはよくわかります。
 テレビとは違うメディアである漫画作品とはいえ、こういった素晴らしい作品が生まれるウルトラマンの世界観は本当によく出来ていますねえ。これだからいまだにウルトラ世界から抜け出せないんだろうなあ。

 さて、あれからずっと怪獣消しゴムを見続けているけど、全然ニクロンは見つかりません。僕の前にも現れないかなあ、ニクロン。


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