ＢＡＣＫ

「特撮ファンの部屋」

　いや〜感心感心。これほど素晴らしい作品だとは思わなかった。日記の方でもそれとなく書いたけど、本当にがんばっていると素直に感じとれる作品ですね。数々の怪獣・冒険する少年少女・怪獣を操る妖精・不思議な神殿と、ワクワクさせるアイテムがいっぱい用意されているし、ストーリーを盛り上げる見せ場を沢山用意して、見ている者を飽きさせないように工夫がいっぱい散りばめられていて好感が持てます。

　迫り来る敵・高いところから落ちそうになるはりつめた空気・爆発して襲いかかる炎など、サスペンスを盛り上げようとしているのが痛いぐらいわかります。エンタティメントムービーはこうじゃないと。確かにストーリーは使い古されたフォーマットをなぞっただけの単純なものだし、多少ご都合主義なところもあるけど、よくまとまってると思う。なんといっても中だるみをほとんど感じさせないのは素晴らしい。
　最近「ガメラのスタッフに頭を下げてモスラ（ゴジラ）を作ってもらったら」とか厳しい意見もあったりするけど、今回のモスラはいい意味での東宝怪獣映画のカラーが出ていたように思う。ハードな暗い内容はガメラにまかせて、モスラはファンタジー色をもっともっと強くし続けて欲しいし、そうあるべきだと思う。同じものは二ついらないしね。なんといっても日本でファンタジーを（それも金のかかる特撮映画で）描けるなんて本当に貴重だと思う。そのファンタジー世界の頂点に本作が位置するのは実に頼もしいと思う。
　主演の女の子やそれをサポートする男の子2人もいい芝居してた。そのため今回はエリアスとベルベラが今一活躍にかけていたけど、しょうがないか。大人の芝居を少なめにして、あくまで子供3人をメインにしたのは正解だと思う。つまんねえドラマみてても子供はつまんないもんね。
　とにかくベタ誉めにしたいモスラ2。マニアの一部では批判的な意見が出てるかもしれないけど、純粋に面白かったから僕は大いに支持したいと思う。ま、最後の戦いが今一短かったような気がしないでもないけど（でも評価を下げるほどのことじゃない）。
　「どうやったら見ているみんなが楽しめるか？」を第一に考えたからこれだけの傑作になれたんだろうなあ。最近やたらと「難解で説教臭い、子供が楽しめない（つまり大人が楽しんでるだけ）」作品が多い中、本当にがんばったと思う。
　何度も「がんばった」という言葉を連呼してしまってるけど、正直本当にがんばったと思う。今の特撮作品（日本の）が一般人に持たれている「幼児向け」というイメージを考えたら、こういった極上のエンタティメントを制作できたのはすごいと思う。
　残念なのは、これだけがんばっても「子供（家族連れ）・マニア」しか見ないという相変わらずの現実がまだ存在しているということ。
　「もののけ姫」は見ても、「モスラ2」は見ないんだろうなあ、みんな。でもなあ、名前だけで実際には全然ファンタジーしていないと思うけどなあ、「もののけ姫」。あれは大人が楽しんでいるだけの、うそっぱち童話だと思うけど。別に「もののけ姫」批判じゃないけど、絶対に「モスラ2」のほうがみんなが見て楽しめる良質の作品だと思うなあ、僕は。
　とうとう水中モードにまでなってしまったモスラだけど、いろんなものに変形しすぎて生物っぽくなくなってる気がしないでもない。やっぱりノーマルモスラでは地味なのかなあ？
　極上のエンタティメントとして、新たな怪獣映画を見せてくれたモスラ2。
　これからもその大きな翼をはためかせて、夢を見せ続けて欲しい。理屈などではけっしてまね出来ない夢をね。