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「クラシックゲームファンの部屋」

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○Texas Chainsaw Massacre(Atari2600)

CHAINSA1.GIF  「Texas Chainsaw Massacre」と聞いて何かを感じた貴方は、立派なホラー映画ファン。そう、「Texas Chainsaw Massacre」とは、ホラー映画を語るときに必ず話される「悪魔のいけにえ」の原題であり、その「悪魔のいけにえ」をゲーム化していたわけです、Atari2600で。
 しかしすごいよなあ、「悪魔のいけにえ」をゲーム化するなんて。オリジナルの映画は、色気も上品さも何も感じさせない、ひたすら下品で狂気だけを見るものに植えつけさせる狂った作品なのだから、これをゲーム化するなんて、昨今のかわいいロリロリアニメ内容薄っぺら冗談作品ばっかりの日本では考えられない。まあ、「悪魔のいけにえ」も「かわいいロリロリアニメ〜」もどちらも狂気という意味では同じですけどね(笑)。

 映画を知らない人のために簡単に説明すると、車に乗った数人の若い男女が異常なヒッチハイカーを乗せたために、恐怖に巻き込まれてしまう話。
 人の皮膚で出来ている仮面を付けた男(レザーフェイス)によって、ハンマーで頭を叩きわられる・チェンソーで体を切断されるなどして、次々と殺されて行く若者達。一人残った女の子は助けをガソリンスタンドのオヤジにもとめるが、実はこのオヤジとレザーフェイスとヒッチハイカーはグルで、迷い込んだ人間を見つけてはこんなことをしているのだった。しかもレザーフェイスとヒッチハイカーは兄弟で(オヤジは親戚)、その二人のじいさんとばあさんはミイラになっていてもしぶとく生きていて、とくにじいさんは女性の生き血を飲むのが好きというふざけた体質。隙を見て脱出した女の子をチェンソー振り回してレザーフェイスは追いかけるが、通りかかったトラックの荷台に乗って女の子は走り去っていく。狂った笑い声を出しながら。それを悔しそうにチェンソー振り回して怒り狂うレザーフェイス(この場面は通称チェンソーの舞)。

CHAINSA2.GIF  とにかく人の殺され方がめちゃくちゃリアリティ入りまくりで、顔面が漂白になり、恐怖に震え落ちるなどの描写が見事。本当にその場にいるのかと錯覚するほど(そんな場所にいたくないけどね)。小道具一つ取ってもよく考えていて、部屋の中に散乱する骨(ニワトリ)だとか、ストーリーが単純な分、細部にわたった狂気がよく描けてます。

 でも、考えれば考えるほど、こんな映画がゲームになるのかと思ってしまいます。だって内容が全然ゲーム向けでもないし、恐怖を与えるにしても、「アローン・イン・ザ・ダーク」「バイオハザード」のような最近の作品ならともかく、1978年では表現できないでしょう(ゲームマシンや技術の限界で)。
 でもちゃんとゲーム化してたんだよなあ。それも僕の予想を超えた方法で。
 プレイヤーは主人公を操作して、狂える殺人鬼であるレザーフェイスを倒さなくてはならない。このての原作をゲーム化するときに考えられる、最もよくあるパターン。だが、本作はそんな安っぽいパターンを使っていなかった。
 なんとプレイヤーが操作するのはレザーフェイスで、周りの人間をチェンソーでザックザックと切り裂いていくのが目的。こいつには驚いた。まさに逆転の発想。まあ、他の映画のゲーム化ならこの逆転の発想はいいのかも知れないが、これが「悪魔のいけにえ」だとなると、「すごい!」としか言いようがない。でもまあ、攻撃してくる人間の攻撃を避けながらチェンソーを振り回すのなら納得できる(できるか?)。
 しかしこの作品は「地球の平和を守るために死ね!」とばかりに弱いザコモンスターを集団でボカボカ殺しまくるRPG(に限らんが)のシステムを正当化するために用意された、「どんな弱い敵でも攻撃してくるから攻撃するんだ!」を無視した見事なシステムです。
 レザーフェイスを8方向に自由に操作して、岩とか車椅子(映画で車椅子に乗った男の子が出るからだと思う)の障害物を避けながら、逃げ惑う無抵抗な人間をチェンソーで切り刻む。するとポイントがアップし、一定のポイントを集めるごとにチェンソーのエネルギーが増えます。エネルギーはチェンソーを使うごとに減って行き、このエネルギーが0になるとレザーフェイスを一人失うことになり、全てのレザーフェイスを失うとゲームオーバーです(矛盾点がいっぱいあるところが素晴らしい)。

CHAINSA3.GIF  めちゃくちゃ単純な内容だけど、その単純なところが逆に「レザーフェイス」になりきれる感じがしていい感じです。チェンソー使う以外なにもないところがね。
 もっとも、さすがに20年も前の作品なので、グラフィックはショボいです(最初どれがレザーフェイスかわからんかった)。BGMもないです(でも一番重要なチェンソーの音はちゃんとあるよ)。
 味のある(というより単にチープなだけだけど)グラフィックで、ひたすらチェンソーを振り回して無抵抗な被害者を切り刻む。ミスるのは、勝手に暴れてなくなったチェンソーのエネルギーがなくなったとき。なんか話だけだとすっごいバカゲーだけど、「悪魔のいけにえ」を題材にした奇抜さと、チェンソーというレザーフェイスにとっての象徴をちゃんとゲームに生かしきったシステムはかなり評価できると思う。
 実は数あるAtari2600のゲームの中で、僕は本作が一番好きです(誰にも薦められないけどね)。

 映画では無敵のレザーフェイスであったが、ゲームでは「あれ、チェンソーのエネルギー切れてるじゃないか。さっきの奴殺すのに時間かかったからなあ。どうしよう」と嘆きながら、今までの恨みとばかりに女の子に蹴っ飛ばされて息絶えてしまいます。
 この場面を見るだけでも、「悪魔のいけにえ」ファンには必見のゲームでしょう(本当か?)。


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