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「特撮ファンの部屋」

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○スーパーパワーの恐竜軍団(恐竜大戦争アイゼンボーグ)

 「恐竜大戦争アイゼンボーグ」は、前作「恐竜探検隊ボーンフリー」に続く円谷プロ制作の恐竜シリーズ第2弾です。「ボーンフリー」の特徴である、恐竜・メカ・情景は実写、人物・キャラクターはアニメで描く制作方法は変わらず、基本コンセプトだけが変わりました。「ボーンフリー」は謎の惑星の接近により目覚めてしまった恐竜を、各種メカを使って捕獲し、安全な場所まで連れて行ってあげるボーンフリー隊の物語です。恐竜版サンダーバードといった感じの作り方で、「怪獣(恐竜)=戦うもの」という図式を打ち壊した、非常に良心的で冒険的な作品です。ちなみにこの年、「およげ! たいやきくん」で大ヒットを飛ばした子門真人さんをモデルにしたゴンさんというキャラクターが登場するのが時代を表していますねえ。
 アイゼンボーグはボーンフリーの「恐竜=助けるもの」から、「恐竜=戦うもの」と変わってしまいました。ボーンフリーが今までにない試みを持った作品だっただけに、非常にオーソドックスな内容になってしまったように見えますが、実は新たな試みをちゃんと用意していました(さすがだ)。
 「恐竜対メカ」これが本作が目指す試みです。考えてみれば「ヒーロー対怪獣(恐竜)」はあっても、「恐竜対メカ」というのは全然ない。もちろんメカも戦っている。ウルトラマンのビートル・ミラーマンのジャンボフェニックスなど、それこそ数多くのメカが怪獣と戦っている。でもそれは、あくまでヒーローを支援するオマケであり、メインはあくまでヒーローなのだ。でも、アイゼンボーグはメインをメカにした。
 地底に存在する恐竜帝国。その首領恐竜「ウルル」は、強力な恐竜を使って地上を征服しようと破壊の限りを尽くす。それに立ち向かうため結成された「D戦隊」の恐竜対抗メカ「アイゼン号」。「アイゼン号」は2台に分離し、前部が「アイゼン1号」後部が「アイゼン2号」となる。「アイゼン2号」は主に救出作業(火を消したり・被害者を助けたり)を担当。「アイゼン1号」には、重傷を負ってしまったためにサイボーグに改造された、立花善と愛の兄妹が搭乗しており、二人の「アイゼンクロス!」のかけ声で、善がアイゼンボーグマン(サイボーグ)・愛が支援する回路となる(アイゼンボーグマンの影となる)。そして「アイゼン1号」は「アイゼンボーグ号」にへと変身する(変形ではなく、変身のほうがしっくりくる)。
 「アイゼンボーグ号」の武器は、先端に取りつけられているドリルと翼に取りつけられたカッターで、最大の武器は翼に取りつけられたカッターを敵恐竜に斬りつける「アイゼンカッター」。
 僕はこの、メカ対恐竜・変身の設定(善がサイボーグになり、愛が回路になる)がすっごく好きだった。もちろん、その年の番組の中では本作が一番好きだった。
 しかしやはりというか、仕方がなかったというか、後半は「アイゼンボー」という巨大ヒーローが誕生してしまい、ヒーロー対恐竜となってしまった。
 ウルルを倒して恐竜帝国の首領となった「ガザリア星人の恐竜魔王ゴッテス」によって、アイゼンボーグ号のいかなる攻撃にもびくともしない恐竜が現れ、善と愛はもう死ぬしかないと悟った。どうせなら一緒に死のうというわけで、アイゼンボーグマン(善)は回路(愛)の中に飛び込んだ。すると二人は、巨大ヒーロー「アイゼンボー」となった。これがアイゼンボーの誕生。最初に現れたときはまだ馴れていないので十分に戦えないというのも、リアルでグッド(いきなりちゃんと戦う作品多いもんなあ)。なお、アイゼンボーの額には、アイゼンボーグ号が埋め込まれるのも非常にいい。アイゼンボーは善と愛が変身したのであり、アイゼンボーグ号の変身じゃないもんね。ここら辺はさすが、よく考えているよなあ。
 でも、結局ヒーロー対恐竜になってしまい、最初のメカ対恐竜という、本作独自の世界が壊れたのはちょっと残念だなあ。
 最終回、恐竜帝国を支配していたゴッテスをアイゼンボーは倒し、やっと恐竜帝国にも平和がよみがえった。そう、恐竜帝国には平和を愛する恐竜達も大勢いたのだ。そして善と愛は、悪のために苦しんで、自分達を必要としている場所を探すために旅に出る。
 あんまり評価されてないけど、本作を含む恐竜3部作(ボーンフリー・アイゼンボーグ・コセイドン)は、円谷プロがウルトラから脱却しようとしていることを感じとれる、非常に冒険している作品です。怪獣ではなく、あくまで恐竜を使用したり(まあ、どちらかというと怪獣に近い恐竜ではありますが)、設定も他にはない個性的なものを使用しています(ボーンフリーの「恐竜救助」・アイゼンボーグの「メカ対恐竜」・コセイドンの「過去に戻って悪を倒す」)。
 成功・失敗にとらわれず、もっと評価してもいいような気がします。実際子供のときに観ていた原体験としても、「おもしろい!」作品だったのは確かですから。


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