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「特撮ファンの部屋」

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○「グラービトーン(大鉄人17)」

 「大鉄人17(ワンセブン)」は1977年に石ノ森章太郎原作・東映制作で放映された、特撮ロボット作品です。
 当時僕は7歳でした。
 17は「敵か? 味方か? 謎の巨大ロボット」といった番宣を流されており、嫌でも内容がハードだということを教えてくれました。実際に第1話を見ても、「ハードだなあ」と子供心に思いましたね。
 そう、17はハードな内容なのです。

 人類は超コンピュータ「ブレイン」を生み出した。そのブレインを世界平和に使おうと考えていた。しかしそのブレインと、研究者の一人「ハスラー教授」が姿を消した。すると、謎の巨大ロボット「ローラーロボ」が出現し、街を破壊する。
 巨大ロボットを生み出したのはブレインの仕業ではないのかと、研究者の一人「佐原博士」は考える。そう、ブレインは人類こそ敵と考え、人類抹殺を実行するのだった。
 そんなブレインが生み出した巨大ロボットの一つが、「17」であった。17は姉と父親をローラーロボに殺された少年、「三郎」と出会い、彼にヘルメットを渡す。そのヘルメットは、17が三郎から意思を伝えてもらうためのものだった。17は彼を友達だと考えたのだ。
 こうして17は三郎を守るため、ブレインが生み出す巨大ロボットと戦うことに。

 自らが生み出した超コンピュータに破壊されるという、皮肉な設定。
 重厚なドラマとストーリー展開。
 そして、剣持隊長率いる「レッドマフラー隊」とブレインが呼び寄せたキャプテンゴメス(演じるは平田昭彦さん!)率いる「ブレイン党(犯罪者の集まり)」との、リアルな(ミリタリー色バリバリ)戦闘。
 17の最大の武器は、胸から放つ「グラビトン」。物体を圧縮して爆破させるというその攻撃方法はカッコイイ!。ただ破壊するだけのアイデアなら簡単だもんね。
 渡辺宙明さん制作の主題歌も、昨今の内容と全く関係ないアニメ主題歌なら裸足で逃げ出す、素晴らしい出来。もちろんBGMも最高!

 ドラマは本当にハードな作りで、当時の他の作品全体を見渡しても、文句なしのトップクラスの出来でしょう。
 しかし、そのハードさが子供に受けなかったためか、途中で路線変更をしてしまい、明るいギャグ作品となってしまいました。17は話が出来るようになり、体の中に入れるようになって、中で遊んだり食事したり出来るようになってしまいました(なんじゃこりゃ)。明るく笑える新キャラの追加、マヌケなブレインの作戦。
 とまあ、前半とは似ても似つかない作風となったわけですが、それでも伊上勝氏・上原正三氏といった偉大な作家は、ただの明るいギャグ作品にはしなかった。ギャグに見えるのは周辺だけで、実際に中心となるストーリーは相変わらず出来が良く、17の名を汚さなかった(さすがだ)。これが、ただ明るいだけの内容がなんにもない作品と本作との決定的な違い。

 17はやさしいロボットで、そのために苦しい戦いを強いられてしまうことがよくある。例えば今自分が戦えば三郎が危険になるときなどは、敵にいいように扱われるけど、手出しをしなかったり。
 子供のときに思い出深い話としては、新幹線を装った新幹線ロボの中に、三郎を含む乗客たちが閉じ込められてしまった。そのため17は新幹線ロボを攻撃することが出来ない。だが、一つだけ手があった。新幹線ロボの中には一つの扉があり、ダイヤル式の鍵を解除することによって外に出ることが出来るのである。でも、その鍵をどうやって外すかが問題なのだが、なんと乗客の中に元金庫破りが含まれていた。しかしその金庫破りは子供と一緒にいるので、自分が今鍵を解除すれば子供に元金庫破りだと知られてしまう。しかし、みんなを助けるために、その元金庫破りは鍵を解除するという話。この一本の話の中には、乗客が閉じ込められているために攻撃できないという緊張感、そして元金庫破りと子供との親子の愛情が詰まっており、子供心にも「よく考えているなあ」と感心したほどです。

 17の世界観を表すキャラとして、途中18(ワンエイト)という、17の弟ロボットが誕生する。最初は17と戦う敵だったけど、(予想通り)仲間になって兄の17と共にブレインと戦うのだが、ブレインのロボットの動きを止めるために犠牲となってしまう。ブレインのロボットを捕まえながら「兄さん、早く撃つんだ!」。その言葉に17は、悲しみながらもグラビトンを放ってしまう。

 最終回、17はブレインと一騎討ちとなるが、ついに動けなくなってしまう。だが、17は人間が中に入って操縦することも可能となっており、三郎は17を操縦してブレインと戦おうとするが、武器はなにもないため攻撃方法は唯一残された「体当たり」だけとなっていた。「わかってるさ、僕も一緒に死ぬよ」ブレインに体当たりしようとする三郎を、17は外に脱出させる(正確には17の中にいるロボットが三郎を外に脱出させる)。ブレインは17の体当たりによって破壊され、再び平和が戻った。「さよなら三郎」それが17の最後の言葉だった。

 僕にとって17の思い出は、ウルトラ・ライダー・ゴジラ・ガメラといった超メジャー作品にも劣らないほどいっぱいあります。
 まず、初めて自分の小遣い(まあ、子供だから結局は親の金なんですけどね)で買った本は17の絵本だったりします。
 そしてよく友達とやっていたのが、17とダンガードAとの対決でした。当時特撮ロボは17、アニメロボはダンガードAが放映されており、僕は17が大好きで友達はダンガードAが大好きでした。それでいつも、「17の方が強い!」「いいや、ダンガードAの方が強い!」と言い合っていました。それもただ言い合っているのではなく、「ダンガードAが一瞬ひるんだ隙に、17は背後に回り込んでグラビトンで勝ちや」といった風に、ちゃんと行動パターンや作戦を言い合っていました。これがもう楽しくて楽しくて。
 17の玩具といって、まず浮かぶのは「超合金」でしょう。なんといっても本物(テレビ)と同じ変形が楽しめる、当時としてはすごいものだったのですから。でも、僕はこの超合金買ってもらえませんでした。仕方ないので、安いプラスチック製の小さいので我慢していました(涙)。でも超合金じゃないと、お腹の中に手が入らないからちゃんとした変形出来ないんだよね(さらに涙)。この17の超合金はかなり売れたらしく、当時としては破格のセールスを記録したらしいです(確か100〜200万個)。番組は今一の成績だったらしいのですが(平均視聴率は6.6%だそうです。もっとも、僕は視聴率なんて全然気にしないし、参考にならないと思ってるけど)、超合金は大ヒットしたところにも、17らしさが出ていると思います。視聴率じゃなくて、17の魅力が勝ったわけですから。

 最近某超有名アニメが「謎が散りばめられていて奥が深い世界を〜」と言われているけど、なんのなんの17も負けてはいませんよ。初期の頃の17の謎。なぜ17は人類の味方になったのか。ブレインはなぜ、17を破壊しようとはしないのか。そして17も、ブレインを破壊しようとしないのはなぜ? なぜブレインは人類の敵になったのか? 等など、今LDで見返してみるとそういった謎が散りばめられていることに気付かされます。そして、ちゃんとその謎に対する解答が用意されているのも重要なポイントでしょう。謎というのは、実は生み出すのはそんなに難しくないと思うんですよ。問題は、その謎に対してどういった答えが用意されているかだと思うわけです。謎がいっぱい用意されても、結局なんの解答もないのなら「だからなんだったの?」だと思うけどなあ。もっとも、解答がなかったおかげで謎本がいっぱい出版されて儲かっているんだろうし、あえて答えがないおかげで、様々なところで討論が行われ続けているんだろうけどね。もちろん、無理に謎解きをする必要もないといえばない。「XーFILES」もはっきりした解答がない作品だし、謎がいっぱいだった「2001年宇宙の旅」の解答編「2010年」を観ても、やっぱり「2001年宇宙の旅」の方が素晴らしいと感じれるようなこともありといえばありですけど。


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